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中国から伝来?ルーツを知って扇子を楽しもう



うちわと扇子



うちわと扇子、どちらも夏の暑い日に欠かせない道具です。うちわは手軽で種類も多く軽く腕を振って風を作ります。値段も色々なものがありますが、どの家庭にも必ずあるといってもよい道具です。大きさは様々で個人で使うことができる小さめのものから、お祭りなどに利用する大きなものまで、用途に合わせてたくさんの種類があります。

扇子は折りたたみできるので、カバンの中に入れやすく持ち運びしやすい道具です。色や素材は多種多様でオシャレなものが多く、香りがついていることもよくあります。風とともに香りも楽しむことができます。日本の伝統芸能にも使用されています。

うちわの起源は中国だといわれています。中国では古来「さしば」と呼ばれる、柄のながいうちわを使っていました。これは高貴な人の身体を隠すためのものです。長い柄の部分を従者が持ち、高貴な人の身体を隠しながら移動するときに使われました。こうしたうちわの原型は中国から伝来したものです。風を送るものとして使われるうちわですが、持ち運びできる便利なカタチである扇子という形状が考えられたのは日本が最初だといわれています。

扇子は平安時代に様々な文字を記録するための木簡として京都で作り始められました。最初は記録のため木簡が何枚か綴じあわされた形をしていましたが、この木簡の片面に紙をはった形のものがつくられました。

鎌倉時代には日本の扇子が中国に渡り、中国で両面に紙をはった形に変化していきました。そうして知られるようになったのが唐扇と呼ばれるものとなり、中国から伝来してきたのです。平安時代には高貴な人しか使うことを許されなかったものですが、唐扇が伝来してきたころには、庶民も親しむことができるようになっていました。日本で発達していった扇子は茶道や能、歌舞伎などに欠かせない道具となりました。また、風を送る道具としても一般的に利用されるようになります。こうして改良された扇子は諸外国に輸出されていきました。



現在のカタチと構造



日本から中国へ渡り、変化をとげて伝来した扇子ですが、現在は価格も多様で骨となる部分も木製、竹製、プラスチック製と色々です。伝統的なものは竹製が多く、丁寧に加工されています。本体の部分は和紙をはじめとして薄い布、絹などの素材もあります。質の良いものは薄い和紙を数枚重ね合わせてはり合わされています。こうすることにより、より美しく丈夫な扇子が作られます。

制作過程ですが、伝統的な京扇子などは、手作業で一つひとつの工程を丁寧に制作していきます。まずは扇骨の制作です。原料となる竹を既定の大きさに切断します。扇骨は加工の前に窯で茹でて、アク抜きの作業が行われます。加工がしやすくなり、色付けも楽になります。そのあと要の穴をあけ、加工していきます。扇骨を乾燥させる白干しという工程を経て、骨を削り磨いたり染めたりしていきます。最後に要の穴をあけたところに、樹脂や金属などの要を打ち込みます。

紙の部分は和紙を何枚もはり合わせ乾燥させます。そのあと絵付けの工程や金箔をはったりして、表面のカタチを整えていきます。絵が完成したら扇子の完成形になるよう紙を折っていきます。最後に別々に加工された扇骨と紙を糊で張り合わせますが、この工程も細かく分かれています。このように長い手作業を経て美しい扇子が完成します。



利用方法



中国から逆輸入されたときから比べると、基本的なカタチは大きく変化はしていませんが種類は大幅に増えていきました。風を送るという本来の使われ方はもちろん、様々なシーンで利用されています。

能や演劇、日本舞踊といった世界で使われているものは、中心の要の部分に重心がしっかり来るように作られています。華やかな舞台に映えるように大きなものが使われることもあります。また、くるくると回したり表や裏をお客様に見せたりする動きがしやすいように工夫されているものもあります。

落語の世界で使われているものは、シンプルな構造ながらこれも動きがしやすいように骨の部分が丁寧に手作りされています。落語では扇子は演じる演目によって様々な役柄を表し変化します。筆や箸、手紙などです。最近では将棋がブームですが、棋士がお気に入りの扇子を持っているところを見かけた人も多いのではないでしょうか。日本の伝統的な芸能になくてはならないものといえます。

カタチ、大きさや文様も多種多様で、子供用から男性用、女性用といった風に自由に自分の使いたいものを選ぶことができます。生産地として有名な京都にある扇子専門店の中には、世界に一つだけのオリジナルを作ることができるところもあります。こんなデザインのものがあったらいいな、という想いをそのまま絵具で描くことができます。夫婦でペアのものを作るのもいいですし、子供の成長の思い出として制作したり、記念日の刻印を入れたりすることも可能です。ステキな思い出づくりにはぴったりです。

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