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扇子の歴史と多種多様な型・使い道について

うちわと扇子の違いと歴史


うちわと扇子(扇)は、あおいで風を送る道具としては同じで現代まで使用されています。うちわは古代中国や古代エジプトの記録にあるほど古く、日本では弥生時代、吉野ヶ里遺跡にうちわの柄が出土された例があり、風を起こす用途のほか、祭祀に係わる道具として使用されてきました。扇は、うちわの機能を改良し折りたためるように日本で考案されたもので、平安時代にはすでに使用されており、記録や遺物が残っています。共に風を起こす道具と祭祀に係わる道具として必要とされてきたことは一緒ですが、扇はこのように折りたためてコンパクトになる形状の違いがあり、神事や茶道、舞踏などでも使用される道具となっています。
また、末広がりの形が、繁栄の意味を持ち縁起がよいとされていて、室町時代よりご祝儀として贈り物にする風習を行っており、現代でも結婚や長寿、七五三、創立記念などのお祝い事の記念品として利用されています。扇子の原型は平安時代、2cmから3cmほどの細くて薄い檜の板をずらして作った檜扇と呼ばれるものであり、もともとはメモ書きとして持ち歩くものでした。中期には扇骨が5本くらいに片面に紙を貼った紙扇が作られ、広げて見ると蝙蝠の羽に似ていることから蝙蝠扇と呼ばれて、あおいで風を起こすための道具としての役割を担うようになり、この紙扇が夏の必需品となりました。
またあおいで使用するほかに、贈り物としても重宝されました。鎌倉時代には中国に輸出され、室町時代には中国へ渡った扇が改良されて、両面に紙が貼られた唐扇が逆に輸入されるようになり、日本でも両面に紙を貼り作られるようになり主流となりました。また、この頃になると能楽などの演劇や茶道にも使用され、武家文化の発展に伴い大衆化し広く普及されていきました。江戸時代には、ヨーロッパに伝わりパリなどで独自の扇を生産し始め、女性の貴族たちに愛されました。

扇子の種類


一言で扇子と言っても様々な種類が存在します。
その中でも伝統的な技法を使われているのが紙扇子です。3枚地紙が貼り合わされて作成される紙扇子は、扇骨を差し込んで作成されます。刷毛引きや手書き等の古き良き文化が未だに活かされた扇子です。
3枚の地紙によってできる紙扇子とは異なり、扇面が生地でできた扇子を生地扇子と呼びます。この生地扇子には、プリントや刺繍などで華やかな加工がされ、片面張りで仕上げられます。生地が布と紙とで好みが別れるようですが、紙であれば防水スプレーなどで耐久性を上げる事で長持ちする扇子になります。
扇子の中には、風を送る目的で利用されているものばかりではありません。
飾り扇子は長寿や繁栄などを込めて飾られ、祝儀扇は会陰ぎものとして冠婚葬祭に利用されます。
また、日本舞踊などで使われる舞扇子等、涼む以外の利用目的で作成される扇子も多くあり、すべての扇子が今の文化を守り続けています。

扇子の使い道


日常の中で扇子の主な用途は風を送ることで、手元で開いて自分自身をあおぎ涼しくなるように使用する場合がほとんどです。火をおこす時などに使用する場合には風が弱いので向いておらず、その場合はうちわのほうが役に立ちますが、お寺などで行う護摩焚きには扇子を使用します。
また、日本では礼儀として笑う時に歯が見えないように口元を手で隠す文化がありますが、それを昔から扇子で隠す所作があります。他には、正座して挨拶するときに胸元から扇子を取り出して膝前に置き礼をする所作があります。それを置いた線を境にして自分と他との結界を張る役割を持たせたものと言われており、葬儀の際に喪主に挨拶するときにも行われます。
贈答品として、現代でも祝い事に用いられますが、古くは平安時代などでの貴族社会にて、上位のものが親しい下位の者に対し下賜するときの品や、江戸時代の正月には、親しい相手に白扇を贈る風習や儀礼用に使用していました。また、能楽や落語などで節目にあたる舞台を行うときに、出演者や贔屓の客に配る風習があります。歌舞伎や能、狂言、日本舞踊、落語などでの道具として用いられてきた歴史があり、重要な道具となっています。日本舞踊では笠や盃などいろいろなものに見立てられ使用されますが、落語でも扇子を箸に見立ててうどんや蕎麦をすすって食べる仕草をしたり、刀や望遠鏡、徳利などに見立てて話されたりします。
また蹴鞠や茶道、香道でもそれぞれ決まりのある扇子を持ち使用します。他には、日本の伝統的な遊びで扇子を的に投げる「投扇興」や、弓矢の的、能や講談、落語の際にたたいて音を出すために作られた専用の「張扇」で調子をとったり、応援団が振って声援を送ったりするのに活用されています。

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