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踊り用に作られた扇子の特徴と使い方

舞扇子は踊り用に作られた扇子


扇子は紙扇子、生地扇子、白檀など使われる素材による分類の他、あおいで涼をとるための夏扇子をはじめ飾り扇子、舞扇子、茶扇子、祝儀扇など用途で分けることもできます。踊り用に作られたものは舞扇子・舞扇などと呼ばれ、日本舞踊はもちろん大衆演劇、中国の舞踊やバレエなど幅広い踊りに使われます。最近では、よさこいやソーラン節などにオリジナルの舞扇子を作るケースも増えているようです。
舞扇の材料は夏扇子と同じで、骨は木や竹、扇面には紙が使われます。間数と呼ばれる骨の数は10本で、夏扇子に比べて少なめです。投げ技や回し技などが行いやすいよう要の部分を鉛で重くしてあるほか、耐久性を高めるため親骨と紙は糊で貼った上でさらに糸で結ばれています。舞扇の骨の色には白竹、塗骨、煤竹などがあり、お稽古には比較的安価で滑りにくい白竹が使われることがほとんどです。
飾り扇子の場合には表と裏で異なる絵柄のものも多いですが、舞扇子は両面同じデザインが基本です。扇面の絵柄は演目の意味や内容、雰囲気に沿ったものが選ばれます。お稽古用の場合には使いやすいシンプルな絵柄や、好みのものを選ぶのが良いでしょう。日本舞踊には200を超える流派があると言われますが、流派の紋である流紋を描いたお稽古用のものも人気です。上方舞の流派のひとつである井上流の舞扇は、白骨に図柄は近衛引と決まっており、稽古用・舞妓・芸妓で色が分けられているほか、お稽古の進み具合により三段・五段・七段・九段と段数が増えるなど、デザインに独自の意味があることで知られています。
日本舞踊は演目により、舞扇ではなく中啓や軍扇が使われることもあります。折りたたんでも半ば開いているように見えることから末広とも呼ばれる中啓は、身分の高い人が使うもので、日本舞踊界の最高演目「京鹿子娘道成寺」の中啓の舞で使われることで有名です。武将が戦場で指揮を取る際に使われる軍扇が使われる演目としては「吉野山」が知られています。

舞扇子のサイズと種類


踊り用の扇子は見栄えが重視されることから、日常使われるものに比べてサイズは大き目です。舞扇にはいくつかのサイズがあり、目的と用途に応じたものを選ぶ必要があります。舞扇子の最も一般的なサイズは9寸5分、約29cmです。女性の使う舞扇は通常このサイズで、お稽古から舞台まで幅広く使われます。ひとまわり大きめの尺寸サイズは約30.5cmで主に紳士用ですが、大柄の女性や男踊りなどに使われることもあります。
扇子の大きさは踊りの流派や種類によっても違いがあり、地唄舞と呼ばれる上方舞ではやや小ぶりなものが使われる場合もあります。踊り用の扇子を選ぶ際には、お世話になる先生などに相談することが大切です。小さな子どものお稽古には、体の大きさに合わせて小さめサイズの子ども用扇子が使われます。小さいものは約24.5cmの8寸サイズからあり、8寸5分、9寸など成長に合わせて選ぶこともできます。大きさだけでなく、絵柄や色合いなどもかわいらしいものが多いのが特徴です。小学生でも高学年になると、大人用と同じ9寸5分で練習できるようになることがほとんどです。
踊り用の扇子に限らず、一般的なサイズの方がデザインなども豊富で好みに合ったものが選びやすくなります。流派で指定がある場合などを除き、舞扇は9寸5分を選ぶのがおすすめです。

踊り用扇子は飾り・プレゼントにも人気


踊り用の扇子はお稽古や舞台以外にもさまざまなシーンで使うことができます。飾り用の扇子は踊りに使うことはできませんが、普通のものに比べてサイズが大きめの舞扇は飾り用としても人気です。両面同じながらシンプルで抽象的な絵柄の多い舞扇は、飾る人のセンスや気分に応じて自由なディスプレイを楽しむことができます。飾りとして使う場合には、用途に関わらず見た目で選んでしまっても問題ありません。むしろ、飾り用でない分、イマジネーションを掻き立ててくれるとも言えるでしょう。
最近では、外国の方へのプレゼントとして扇子を選ばれる方が増えています。飾り用の扇子も素敵ですが、あえて踊り用を選び、扇子一般と舞扇の違いなど日本文化について説明してみるのもいいでしょう。私たち日本人にとっても、文化を学び直す良いきっかけになるのではないでしょうか。たためば非常にコンパクトながら、広げて飾ることもできる扇子は、海外の方へのプレゼントにはぴったりです。
また、踊り用の扇子ならではの用途として、役者さんへの贈り物にすると言うものがあります。日本舞踊や歌舞伎など、演劇と扇子は切っても切れない関係にありますが、大衆演劇にも扇子は欠かすことができないアイテムです。お気に入りの役者さんにプレゼントしたいと言う要望は多く、中にはオリジナルの扇子をオーダーされる方もいらっしゃるそうです。役者さんへの贈り物の場合には、やはり舞台映えする華やかなものが喜ばれます。演じる役柄や芸名にちなんだものなども人気です。

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