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風流な扇子の持ち方で猛暑を優雅に乗り切る

暑い夏を乗り切る扇子の基本の持ち方


日本の夏を涼やかに彩ってくれる扇子は、名前通り扇の形が末広がりを連想させ、縁起の良い引き出物として用いられることも多いです。古くは平安時代の初期頃から日本で愛されてきましたが、昨今のエコブームと、温暖化からくる猛暑を乗り切るには欠かせないものになりつつあります。優雅に涼を取る姿は傍目にも涼やかですし、うちわなどと違って折りたたんでコンパクトに持ち運べる事から、携帯して持ち運ぶのに便利でもあります。また、独特の扇形や風流、わびさびを感じさせるその扇面のデザインは海外の方にも人気となっています。そんな日本の伝統的な扇子ですが正しい持ち方を知っているという人は意外と少ないようです。
まずは、各部品の呼び名を解説します。最初に、紙が張ってある風を送る部分を扇面、閉じている状態で一番外側にきている骨組みの部分を親骨、その内側に当たる複数本で構成されている細い骨組み部分を中骨、親骨と中骨をつないでいる最も重要な部分を要と言います。基本的な持ち方としては、扇面には触れないようにし、親骨、中骨、要を持つようにします。扇面に触れないように持つのは、触れてしまう事で意匠を凝らした美しい扇面を手垢で汚してしまったり、爪などで破損する事や傷めてしまう事を防ぐためです。良いものを長く使うための大切な工夫です。この方法は開いているとき、閉じているとき、どちらにも共通となります。
これらの基本的な方法でしたら傷みや劣化も最小限で済みますし、なにより優雅で気品ある所作となります。扇子を使うのでしたら和の心と優雅さを心がけた凛としたたたずまいをする事で、周囲の評価も変わってくる事でしょう。

男女による持ち方の違いと扇ぎ方のマナー


実は男女によっても扇子の持ち方に少々の差があります。男性は持った時に親指が人に見えるようにして、要の部分を持ちます。女性の場合は逆に親指を隠すようにして手のひらの甲を相手側に見えるようにして、要の部分を持ちます。これらのやり方は人によっては持ちにくいものになりますので、無理にすることではありません。ただし、こうした所作が正式なものだと知っているのと知らないのでは、やはり大きな差があるでしょう。
ちなみに扇子そのものも男性用、女性用で違いがあり、閉じた状態での長さが21cm以上では男性用、21cm以下では女性用、21cm近辺のものは男女兼用となっています。これらの大きさの違いは一応ありますが、女性でも機能を考え男性用の大きなものを使うこともあるので、あまり気にしなくても良いでしょう。
開いた時の持ち方に続いて、扇ぐ時ですがこれはそのまま開いた時の持ち方で扇げばよいのですが、扇ぎ方にはマナーがあります。例えば、電車や映画館などで隣に座った方が扇子を取りだし扇ぎ始めたのだけれど、自分の方にまで風や香水のにおいがまわってきて不快な思いをした、というような経験をされた方も少なくはないでしょう。そうならないために、扇ぐ時は自分の顔の下から上向きに扇ぐようにするのがマナーです。また、あまりに豪快に振り回すように扇ぐのもそれはそれで美しい所作とは言えませんし、周りの方に風が散って迷惑となるので控えた方が良いでしょう。
こうしたきめ細やかな所作は日本文化の誇りともいえるものです。扇子を使って暑い夏に涼を取るのであれば、そうした日本的な所作を取り入れることで一層夏を涼しく過ごせることでしょう。

扇子の開き方と閉じ方


基本的な持ち方は分かりましたが、開くときにも気を配りたいことがあります。開くときに片手で持って手首のスナップや、指のひねりなどで片手のみで素早く開く方が多くいますが、それらのやり方はおすすめできません。なぜなら、扇子というものがそもそも片手で開くようにデザインされておらず、そうしたやり方をしていては要の部分が傷んでしまい、破損の原因となってしまうからです。
開き方の基本的な持ち方は、まず片手で要の部分を持ち、もう片方の手の親指で中骨の部分を押し出すように広げ、それから両手でゆっくりと広げる、というものです。そして、広げる際には全て開ききるのではなく、少し閉じた部分を残しておく事もポイントです。これは傷みや破損などとは関係のないことですが、すべて開ききってしまうという事は、これより先がないという事を暗示させるもので、縁起が良くありません。末広がりという意味を考えるとこれも避けた方が良いでしょう。せっかく末広がりで縁起が良いとされているものを使うのですから、先がないという縁起の悪い状態にしてしまうのは損をした気分になります。
閉じるときも同様に両手で行います。まずは開いた状態の要部分を右手で奥から手繰るように閉じていきます。この際、左手は右手で手繰る親骨と逆サイドの親骨にそえてあげてください。扇面の折れ部分に沿って優しく閉じることで、扇面の変形や傷み、破損を防ぐことができます。また、閉じた後にはしめ紙やゴムをしておくことで型崩れを防ぎ長く愛用することができます。
日本の文化は良きものを長く使うことを美徳としてきました。自分で気に入って購入したものや、大切な人からの大事な贈り物はできるだけ長く、美しい状態で手元に置いておきたいものです。そのためにも、こうした基本に気を配る事で長い時間を共にしていく事ができます。

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